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幸せと不幸せ

昔々、二人の男が居ました。
二人の男は住んでいる場所も名前も身分も全て違いました。

一人の男は勉強が出来ず、お金もなく、格好良くもありません。
いつも、お金があったら、頭が良かったら、友達が居たらと考えていました。

もう一人の男は勉強が出来、お金もあって、友達がたくさん居ました。
ですが、足が不自由でした。手もあまり動きません。
いつも、自由に走れたら、絵が描けたらと思っていました。

二人の男はため息と同時にいつも言っていました。

「何て自分は不幸なんだろう」

そんなある日、二人の前に神様が現れて言いました。

「願いを叶えてあげよう」

二人の男は喜びました。
そして、思いました。
(ようやく幸せになれる……)
ただし、神様はこう付け足しました。

「ただし、願いをかなえると大切な物を失ってしまう」

二人の男は自分に大切な物など何もないと言って願いをかなえてもらいました。

翌朝、一人の男は大きなお城で目覚めました。
頭にはたくさんの知識が積もっています。
周りにはたくさんの友達が居ます。

「やっと幸せになれたんだ」

城を走り回ろうと思って起き上がろうとしました。
ですが、体が動きません。
どんなに頑張っても体が動きませんでした。
お金も、良い頭も、きれいな顔もあるのに体は動きませんでした。

もう一人の男が目覚めるとそこは古くなった小屋でした。
上半身を起こそうとすると、起こす事が出来ました。
立とうと思ったら立つことが出来ました。
もう一人の男はとても喜びました。
ですが、周りに友達は居ませんでした。
鏡を覗くときれいだった顔はありませんでした。
小屋の中には何もありませんでした。

二人の男は悲しみました。
一人の男は自由に動ける体を
一人の男はお金も友達も失ったのです。

神様はそれを見ていて思いました。

幸せとは何だろう……?

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++あとがき++ えーと、これはふとした瞬間に思いついたアイディアです。 これを作ってて本当に幸せってなんなんだろう・・・? とか哲学者(?)的な事を考えたりしてました。